なぜ今、技術者に揺るがない基礎力が求められるのか

私たちのサイト「産業トレーニングコース」が目指しているのは、非常にシンプルで、「現場で本当に役立つ技術者を育てる」ということなのです。特に、工場の自動化(FA)に欠かせないPLCやロボットといった技術って、参考書だけじゃなかなかわかりにくい。であるため、実際に機械に触りながら、その道のプロから基礎をしっかり学べる場を提供したいって、スタッフみんなでいつも話しているのです。最近、社内の若手やパートナー企業の技術者さんと話していても思うんですけど、技術の進化が目まぐるしい今だからこそ、逆に「揺るがない基礎」の価値が見直されてる気がするのです。今回は、その「なんで今、"基礎"が大事なの?」というテーマについて、独自に考えていることをちょっと話してみたいと思います。

昔の工場の技術者って、特定のメーカーのPLCやロボットだけをひたすら使いこなす「スペシャリスト」が多かったと思うんです。でも今は、工場のIoT化とかスマートファクトリー化が進んで、いろんなメーカーの機器を繋いで、データをやり取りするのが当たり前になってきました。そうなると、一つの機種の操作方法を覚えているだけじゃ、すぐに行き詰まっちゃうのです。例えば、A社のPLCで組んだ自己保持回路のラダー図。この基本的な考え方さえ理解していれば、初めて触るB社のPLCでも、プログラムの意図を大体読み解けるはず。でも、もし「このボタンを押したら、この命令を書く」って丸暗記しているだけだったら、もうお手上げです。トラブルが起きたとき、原因を突き止める応用力や、新しい技術が出てきたときにキャッチアップする力って、結局はシーケンス制御の原理原則とか、電気の基本的な知識といった「土台」の上にしか成り立たないんだなって、痛感することが多いです。

こういう話をしていると、「じゃあ、どうやって基礎を学べばいいの?」ってなりますよね。もちろん、現場でのOJTや独学も非常に大事。当初は先輩の背中を見て覚えました。でも、今の製造業って、とにかく人手不足が深刻で…。経済産業省の調査を見ても、製造業の現場では大企業・中小企業問わず、人材確保が大きな課題になっているのがわかります。

(出典: 経済産業省「製造業における人手不足の現状及び外国人材の活用について」より)

人手が足りないから、一人の技術者がPLCもロボットも、時にはネットワークのことも…みたいに、複数の役割をこなす「多能工化」が求められる。そんな状況で、断片的な知識をOJTだけで継ぎ接ぎしていくのは、教える側も教わる側も、正直かなりキツイと思うんです。昔研修に参加して「ああ、先輩が言ってたあの設定って、こういう理論に基づいていたのか!」って、点と点が線で繋がった瞬間の感動は今でも忘れられません。体系的に、そして効率的に基礎を学ぶ時間って、長い目で見たら最高の投資になるんじゃないかなと思います。

AIがラダープログラムを自動生成してくれる、なんて未来もそう遠くないかもしれません。でも、そのAIが作ったプログラムが本当に正しいのか、現場の状況に合わせてどう修正すればいいのかを判断するのは、やっぱり人間の技術者です。その判断の拠り所になるのが、何度も言っちゃいますけど「基礎力」なのです。私たちは、このサイトを通じて、ただ操作方法を教えるだけじゃなくて、技術の「なぜ?」を考えられる仲間を一人でも多く増やしていきたい。そして、その基礎の上に、皆さん一人ひとりが自分なりの応用力や創造性を花開かせていく…そんなお手伝いができたら、最高に嬉しいです。まだまだ勉強中の身なので、皆さんと一緒に学びながら、日本のものづくりを盛り上げていけたらな、なんて思っています。