ニュースの概要
NHKは、大学が18歳で入学する若者だけでなく、社会人の学び直しを受け入れる場へ変わりつつある現状を伝えている。少子化で18歳人口が減り続けるなか、大学は新しい学び手を求めている。一方で働く人の側にも、技術の変化や転職の増加を背景に、学び直しの需要が高まっている。夜間や土日の講座、オンライン授業、数か月で修了できる短期プログラムなどが増え、受け皿が整い始めた。ただし費用、仕事との両立、学んだ内容が評価につながるかといった壁も残る。報道は、大学の側の変化と学ぶ人の実情を並べ、制度として根づくかどうかを問いかけている。
引用元: 脱“18歳中心主義"で大学が受け皿に?“学び直し"の現状は(NHKニュース)
分析・見解
18歳人口の減少が大学を社会人に向かわせた
日本の18歳人口は1990年代前半の約200万人から、現在は100万人強まで減っている。大学が今の規模を保つには、新しい学び手を探すしかない。そこで目が向いたのが、すでに働いている人々である。
つまり今回の動きは、教育の理想だけで生まれたものではない。大学側の経営事情と、働く人側の必要が、たまたま同じ方向を向いたのである。この点を押さえると、流れが一時的な流行で終わらない理由も見えてくる。
受け皿は増えたが、続けられる人はまだ少ない
夜間や土日の開講、オンライン授業、半年程度の短期講座は確かに増えた。国も、一定の講座を修了すると費用の一部が戻る教育訓練給付などで後押ししている。
それでも、日本の社会人が大学などで学び直す割合は、欧米と比べて低いままだとされる。理由は単純である。仕事が忙しく、時間がない。職場が学びを歓迎しない。学んでも給与や昇進に結びつかない。この三つが重なると、人は続けられない。
大学側にも課題がある。授業が研究者の関心に寄りすぎて、現場の課題と結びつかない例は少なくない。受け皿を増やすだけでは、使われる受け皿にはならない。
海外の事例が示す、学びを評価につなげる仕組み
米国のコミュニティカレッジは、地元企業と一緒にカリキュラムを組み、修了者をそのまま採用につなげている。ドイツの企業内訓練も、修了資格が産業界で共通に通用するため、学んだ価値が賃金に反映されやすい。
共通するのは、学びの出口が見えることだ。何を身につければ、どの仕事に就けるのかが、学ぶ前から分かる。日本では、この出口の設計が弱い。大学の修了証が、採用や昇進の場でどれだけ意味を持つかが、企業ごとにばらばらだからである。
今後の焦点は、大学と企業が組んで出口を作れるか
これから問われるのは、大学の努力だけではない。企業が学び直しをどう評価するかで、流れは決まる。
例えば、修了した人を社内の配置転換で優先する、資格手当を付ける、学ぶ時間を勤務扱いにする。こうした小さな約束が積み重なって、初めて人は動く。大学が受け皿になる時代とは、企業が出口を用意する時代でもある。
ビジネスへの影響
社員の学びを後押しする制度は、採用競争力にもなる
学ぶための休暇、費用補助、勤務時間の調整は、社員満足だけの話ではない。成長できる会社かどうかは、若手が就職先を選ぶ際の重要な基準になりつつある。人手不足が続くなか、学びを支える制度は採用上の強みになる。
まずは小さく始めるとよい。年間の補助上限を決め、対象を業務に関連する講座に絞る。数名で試して、効果を確かめてから広げる方法が現実的である。
大学との連携は、採用と研修を同時に補う
地元の大学と共同で講座を作れば、自社の課題に沿った内容を学べる。社員の育成になるだけでなく、受講した学生や社会人との接点が、将来の採用につながる。
特に製造や情報技術の分野では、現場の知識と大学の理論をつなぐ人材が不足している。講師の派遣、教材の提供、実習の受け入れなど、費用をかけずにできる協力から入れる。
学びの成果を評価する基準を、先に決めておく
社員が学び終えたあとに何も変わらなければ、学ぶ意欲は続かない。配置、資格手当、昇給のどこに反映するかを、事前に示しておくことが大切である。評価基準が見えれば、社員は自分で学びを選べる。会社にとっても、投資の効果を測りやすくなる。